相続のはなし 遺産分割協議による不動産の相続登記

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8年前に亡くなった義理の父名義になっている不動産の相続登記を行いました。
当初は、司法書士に依頼せずに相続登記手続きを私がサポートして自分たちで行うつもりでしたが、登記簿謄本を取得すると根抵当権が設定されたままになっていて、難易度が上がったのでサラリーマンとして仕事をしながら全て自分でやるのは荷が重そうと思い、途中から司法書士に依頼しました。

自分で取り組み始めて気が付いたこと、司法書士に依頼したことで分かったことについて、まとめてみたいと思います。

最初にお断りですが、私は理系の大学を出た普通のサラリーマンで、法律を勉強したわけでも専門家でもありません。
仕事上、契約書の締結はもちろん、会社の設立・合併・会社分割・清算等に携わった経験があり、ある会社の清算人になったときには支払い督促などを行った経験もあるので、普通のサラリーマンよりは法的な手続きに“慣れている”といえるかもしれません。

慣れているとはいっても、私が体験したことは法律の専門家が見れば、間違っているかもしれないので、参考程度に見ていたいただき、実際に相続手続き等を行う場合は、ぜひ専門家に依頼するなりご意見を参考に実施してください。

目次

相続対象の不動産の特定は「納税通知書」だけでは危険!

義理の父の名義になっている不動産は、市から毎年送付される固定資産税の「納税通知書」によると、土地が12件、家屋が3件、合計15件記載されています。

当初は、この15件の不動産について手続きを行うつもりでしたが、手続き方法をHPで調べてみると、公衆用道路である土地等の非課税資産については記載されていないケースがある、という記述が気になって、念のため「固定資産評価証明書」を取得しました。

上の写真が取得した「固定資産評価証明書」ですが、例で紹介されていた「公衆用道路」となっている土地も、義理の父名義で保有していることが分かりました。(赤枠部分)

なお、手続きを紹介しているHPでは、「名寄帳」を市町村から取得するとよいと書かれていますが、今回は取得しませんでした。
理由は、単に、”気が付かなかったから”です(^^;

また、登記情報などはネットで検索し、発行することが可能なのですが、これも私の場合は有効でした。
検索する際に、ざっくりした地番を入力して検索するのですが、実家がある地番を入力したところ、建物が4つあるという結果になりました。

3つのはずが、4つあると・・・。4つめは何?、っということで全ての登記簿謄本を取得したところ、既に取り壊された建物の登記が残っていることが分かりました!

不動産の特定は非常に難しい課題ですね。

ポイント

相続登記を行う際に対象となる不動産の洗い出しを行う必要がありますが、市町村から毎年送られてくる「納税通知書」だけを頼りにするのは危険です。

市町村に「固定資産評価証明書」を請求し確認を行いましょう!

「名寄帳」の取得も有効のようです!

登記情報のオンライン検索で検索してみると、滅失されていない物件が見つかることも!

遺産分割協議書は必ずしも同じ用紙を使わなくてもよい!

亡くなった義理の父の相続人は、義理の母や妻を含めて全部で6名います。

今回、相続に当たっては、6名で相談した結果、全ての不動産を長女である妻が相続することになりました。
これは、亡くなった父の願いでもあり、「相続」が「争族」にならなくて良かったです。

当初は自分で相続登記を進める予定だったので、色々調べて、「遺産分割協議書」を作りました。
作ってみて、文言は問題ないなぁと思ったのですが、課題は、「遺産分割協議書」を印刷し、これを順番に郵送して、氏名を記名し、実印を押印してもらうという行為がうまくいくかなぁという点でした。

もし、ある程度まで進んだ段階で、例えば記入ミスしたとかになると、訂正処理が必要になったり、最悪は再度印刷して回し直しになるのではないかと・・・。

依頼した司法書士から確認のために送られてきた遺産分割協議書は、同じ文言が印刷された「遺産分割協議証明書」を6枚印刷し、別々の用紙に各自が記名し、実印を押印する、という形式でした。

「遺産分割協議書」は、遺産の分割について協議し、そのことを全員が同意すれば成立するというものなので、内容に同意するということが分かれば良いので、この方式というか形態でも問題ない、ということになるようです。

私が調べた限りでは、この形での事例がHPにはなかったので、”目から鱗”でした。

この形式だと、もし誰かが記入ミスをしたとしても、その方の分だけを訂正したり、印刷しなおせばよいだけなので簡単ですし、「遺産分割協議書」をシリアルに回す必要はなく、パラレルに全員に送れるので、相続人が多い場合には有効な方法だなぁと感じました。

このブログを書き始めて気が付いたことですが、司法書士が用意してくれたのは、「遺産分割協議書」ではなく、「遺産分割協議証明書というタイトルになっていたことに気が付きました。

調べてみると、「遺産分割協議書」と「遺産分割協議証明書」は違うようで、検索して見つけた下のページによれば、「証明書」の方は、専門家が実務で使用されているが一般的には知られていない、というもののようです。

ポイント

「遺産分割協議書」は、必ずしも同じ紙に相続人全員が記名し、実印を押印しなくても良い。

同じ内容が書かれた「遺産分割協議証明書」を相続人の人数分印刷し、それぞれが記名し、実印を押印するという形式でも良い。

既に取り壊された建物の滅失登記は司法書士の仕事ではない!

登記情報をオンラインで検索して見つけた義理の父名義になっている建物の1つは、既に取り壊された建物でした。

本来であれば取り壊されたときに、きちんと滅失登記をすべきなのですが、取り壊した当時、義理の父は認知症になっていた時だったと思いますし、義理の母はずっと専業主婦で、こういう事務処理には疎かったために、放置されていたようです。

市は、取り壊されたことを認識していたようで、郵送してくる「納税証明書」にも後日取り寄せた「固定資産評価証明書」にも記載がなく、課税対象にはなっていませんでした。

司法書士に、既に取り壊されたことを伝え、滅失登記をして欲しいと話したところ意外な答えか返ってきました。
それは、「滅失登記は司法書士の仕事ではなく、土地建物家屋調査士の仕事なんです」と。

滅失登記も登記でしょ、と思うのですが、なんとも不思議な世界です。

土地建物家屋調査士に依頼することも考えましたが、調べてみると滅失登記自体はそれほど大変なことではなく、根抵当権が抹消された後であればできそうです。

法務局に支払う印紙も不要なのに、土地建物家屋調査士に3~5万円も払うのはもったいないので、自分で手続きを行いました。

「建物滅失証明書」がないので「上申書」で対応

課題は、滅失登記に必要な取り壊し業者が作る「建物滅失証明書」が必要なのですが、取り壊し業者がわからず、証明書もどこにあるのかわかりません

色々調べたところ、名義人が「上申書」を書いて提出すれば手続きができるようなので、今回は上申書を書いて無事に滅失登記ができました。

取り壊した年号がわかるときの年月日の書き方

滅失登記の登記申請書ですが、取り壊した日付がわからなかったので、下のように「原因」の欄に「年月日不詳取壊し」と書いて提出しました。

後日、法務局の方から、『現地を知っている法務局の職員が、”平成になってから取り壊されたはず”と言っているのですが』と連絡をいただきました。

確かに平成になってから取り壊されたことは間違いないのでその旨お伝えすると、『そうであれば、”年月日不詳取壊し”となっていますが、”平成年月日不詳取壊し”となりますね』と。
送り返されて、修正して出し直しになると覚悟したところ、『こちらでそのように修正しておきますね』と。

参考にしたHPにも、郵送で手続きする場合、軽微な修正であれば法務局の方で修正してくれる場合もあるので捨印を、と書かれていたので、念のため捨印を押しておいて正解でした!

登記簿謄本・建物図面・平面図・公図は不要かも?

手続きの参考にしたHPには、登記簿謄本・建物図面・平面図・公図が必要と書かれていたので、同封して送ったのですが、対応してくださった法務局の方曰く、「こちらで確認できるので不要」とのことでした。

本当に不要かはわかりませんので、ご自分でトライされる方は提出する法務局に問い合わせをされることをお勧めします。

返信封筒に切手を貼って。多めに切手を入れておくと使わなかった分は返ってくる!

返信用の封筒に切手を貼り、申請書に同封して送りました。
返信される書類の重さによって必要になるかもしれない切手を調べて、少し追加して同封して送りました。

使わなかった切手は、一部使った旨記載されて返送されてきました。

ポイント

建物の滅失登記は、登記なのに「司法書士」の仕事ではなく、「土地建物家屋調査士」の仕事!

ただし、滅失登記手続きは難しくないので、自分でやるのがおすすめ!!

「滅失証明書」がない場合は「上申書」で手続きできる!

「登記申請書」の軽微な修正は法務局で行ってくれる場合があるので、郵送で手続きする場合は捨印を!

相続登記を自分でやらず司法書士に委託した理由!

当初、自分で相続登記の手続きしようと思っていたのですが、土地建物の登記簿謄本を取得してみると、一部の土地・建物に根抵当権が設定されていたため、司法書士に依頼することにしました。

既に取り壊された建物を義理の父が建てたときに、銀行から融資を受けたようなのですが、その時に一部の土地・建物を抵当物件としたようです。
融資を受けた年数から考えると、既に返済は終了しているはずなのですが、念のため銀行に電話して、調べてもらったところ、やはり返済は終わっていました。
本来であれば、返済が終わったときに抵当権抹消登記の手続きをするのですが、これも放置されていたようです。

抵当権抹消登記も、登記手続きに変わりはないのですが、ローンを完済した際に金融機関から抹消登記の手続きに必要な書類が送られてきているはずなのですが、これがどこにあるかわかりません。
滅失登記のように、名義人が上申書を書けばOKというものではなく、金融機関との対応が必要になり、抹消登記に必要な書類の再発行をしてくれない金融機関もあるとういことで、かなり面倒で手間と時間がかかる、ということが、手続きを司法書士に依頼した理由です。

取り壊された建物の滅失登記も、抵当権が設定されている状態ではできません。
ということで、今回は、
 ①建物に設定されている根抵当権抹消登記の手続きを行う
 ②取り壊された建物を含めて遺産分割協議書による相続登記を行う
 ③取り壊された建物の滅失登記を行う
という3段階の手続きを行い、①と②を司法書士に依頼し、③は自分で行いました。

まとめ

登記に関する手続きは、放置すると、必要書類が紛失するなど、余計な手間が発生するので、後回しにすることなく、事象が発生した都度手続きを行うのがベスト!

最後に

今回は、妻方の不動産の相続登記を行いました。まだ、義理の母は存命ですが、89歳という年齢を考えると2段階に相続するのは経済合理性からも不利なので、「遺産分割協議書」(今回は「遺産分割協議証明書」)を利用して、子どもである妻に相続する手続きを行いました。

登記手続きは、本人であれば自分で実施することができます。
手間と時間を惜しまなければ、司法書士や土地建物家屋調査士に頼まなくても実施できます。

几帳面な方や、仕事で事務処理を普通に行っている方なら、ネットに参考情報が色々ありますし、ご自身でできるのではないかと思います。

司法書士は専門家なので、お任せすれば全て対応してくれますがお金が必要です。

どちらを選択するかは個々人の事情に合わせて、ということになりますね。

なお、冒頭に書きましたが、私はこの手の手続きに慣れているとはいっても、私が体験したことは法律の専門家が見れば、間違っているかもしれないので、参考程度に見ていたいただき、実際に相続手続き等を行う場合は、ぜひ専門家に依頼するなりご意見を参考にしてください。

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この記事を書いた人

還暦もすぐそこに迫り、そろそろサラリーマン人生もカウントダウン。
人生100年時代と言われていますが、2021年夏から88歳の義母との同居を開始したことで、より一層残りの人生を考えるようになりました。
これからの「生き方」について、自分の考えの整理と備忘もかねてこのブログを作っていきたいと思います。

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